初夏、田植えが終わり山の緑が濃くなりはじめると、由良川の上流域にあたる美山川では毎年竿を持つ人々の姿で溢れます 。“清流の女王”と呼ばれる鮎を楽しもうと訪れる、たくさんの釣り人たちです。
今回、美山川の鮎の魅力を教えていただこうと訪れたのは、美山では有名な鮎釣り名人、上林博文さん。近年では2014年に釣具店「がまかつ」主宰の地区大会で優勝され、全国大会にも何度も出場された実績があります。
良質の珪藻が生える美山川
鮎の味や香りに大きく影響するのが水質と餌ですが、美山川には鮎の餌となる良質の珪藻類が生えるので美味しい鮎に育つそうです。水が綺麗で水温が低くなるほど鮎はぬめりが増してスイカのような香りが強くなり、香魚とも呼ばれます。私は父が経営する山里料理いそべで毎年鮎を調理します。ぬめりが強く、掴むのが難しい鮎と出会うと嬉しく感じます。そんな鮎は当然香りも強く美味しいです。
一度は食べたいなわばり鮎
美山川にはダムがあるために天然遡上の鮎はいませんが、4/20から稚魚放流が始まり(6/13までで、3,900kgの稚魚が放流されます)、鮎釣りが解禁される頃には、なわばりをもった天然鮎になります。鮎はなわばりを持つと胸の黄色い斑紋が増えます(釣り人からは追い星とも呼ばれます)。鮎にはなわばりを持たない群れ鮎もいますが、味は良質の珪藻が生える場所を餌場にするなわばり鮎が断然美味しいそうです。
体験しないとわからない!友釣りの手ごたえ
上林さんが鮎釣りを始めたきっかけは、25歳で美容師の修行を終えて美山に戻った際に「鮎釣りをしないと田舎に戻った価値が無い」と言われたこと。そして、「初めて鮎がかかった際の手ごたえが脳天を突き抜けるような衝撃で、一度味わったらやめられへん!」この経験をきっかけにして28年友釣りを続けているそうです。友釣りとは、鮎が自分のなわばりに入った他の鮎を威嚇する性質を利用した釣りで、生きた鮎を竿で操って、それに体当たりしてきたところを掛け針で釣り上げるというものです。
情報交換や繋がりを育むオトリ屋さん
釣りをしない方にはオトリ屋さんってあまり縁のないお店だと思います。オトリ屋さんでは年券や日券、天然と養殖のオトリ鮎の販売や天然鮎の買い取りが行われます。またお店の方や釣り人同士の情報交換の場でもあります。川の状態や最近の釣果を聞いて釣りに行く場所を決めたり、経験者から釣り方を教わったり仲間が集まる場所でもあります。オトリ屋さんによっては若手のサポートや釣り人の増加にも力を入れておられるので初心者の方も気軽に相談にのって頂けると思います。
上林さんははSNSを利用した情報発信をされていますのでインスタグラムやフェイスブックを見ると美山川の状態や釣果をチェックすることが可能です(インスタグラムは、himawariotoriten・フェイスブックは、ひまわり囮店で検索して下さい)。
)ひまわり囮店ではお土産鮎の販売が行われていて、鮎の一夜干し・生きた鮎・冷凍鮎・うるか(内臓の塩漬け)等があります。BBQ用の鮎など色んな対応が出来るそうです。(状況によって在庫が変動するので必要な際は事前に連絡をお願いします。)今年からカキ氷の販売も始まったので涼みながら名人から鮎のお話を聞くのも楽しいと思います。
安心して遊べる川遊び!鮎つかみ
豪華賞品が一杯!美山CUP(鮎釣り大会)
6/24(日)に第9回美山川CUPが開催されます。募集人数140人(先着順)で漁協組合が開催する大会としては全国的に見ても大きな規模になるそうです。美山町の業者の協力体制が凄くて、たくさんの景品が集まります。町が一丸となって協力する体制は美山独特の風土がもたらすものではないかと思います。表彰は3位までで、レディース賞とシニア賞もあります。参加費は3,000円(女性は半額の1,500円です)
名人に教わる鮮度の保ち方や焼き方のコツ
活かして持ち帰れない場合は、鮎をしめる必要があります。上林さんに鮮度を保つ秘訣を教わった所、クラッシュアイスでキンキンに冷やすのがオススメだと聞きました(内臓を冷やす必要がある)。また、難度が高くなりますがポキンと背骨を折ると良いそうです。焼き方のコツとして、冷凍の鮎を塩焼きにする際は解凍しすぎないで半解凍で少し串が刺しにくいくらいで焼くと腹が割れにくくなります。他にも、ウロコを取ると川魚独特の臭みが無くなり皮がパリパリに焼きあがるそうです。
料理屋さんで美山川の鮎を楽しもう!
美山町にある料理屋さんではそれぞれ趣向を凝らしたメニューで観光客を迎えます。
美山にお越しの際はレジャーだけでなく鮎料理を味わってみてはいかがでしょうか?
鮎料理が予約なしで食べられるお店は 自然文化村河鹿荘、枕川桜、まるや、たけよし、いそべがあります。
このほかにも事前予約すれば鮎を食べれるお店はたくさんあるので下記ページをチェックしてみてください。
鮎を食べられるお店特集
鮎は7月上旬までが若鮎、8月下旬から落ち鮎となり時期によって見た目や味が変化します。6~8月の鮎を食べ比べるのも楽しいと思います。
清流美山川で育まれた鮎を是非とも堪能してください!