【美山かたり】

vol.18

お雑煮あれこれ

美山の里に初雪がふり、師走も押し迫るころ、寒さの中でお正月を迎える準備が始まります。
この頃はお店も年明け早々に営業するし、あまりお節料理を作る必要もなくなってきているかもしれませんが、それでも新しい年をお祝いする元旦の朝には、お節料理とお雑煮が欠かせませんね。

お宅はどんなお雑煮?

ところで、皆さんはどんなお雑煮を召し上がりますか?
関西地方、特に京都では、白みそのお雑煮が一般的ですね。全国津々浦々さまざまなお雑煮がありますが、美山ではどんなお雑煮が食べられているのでしょうか?

お雑煮カルチャーショック!

30年余り前のこと、私が美山に嫁いで初めてのお正月。生まれ育った隣町の実家では、白みそ仕立てのお雑煮を食べていました。大根、人参と一緒に丸餅を煮て、鰹節をかけていただきます。「京都は白みそ」とのイメージもあったので、お正月のお雑煮は、美山でも当然に白みそだと思い、何の疑いも持たずにそのお雑煮を出したところ、夫は「えっ?」という顔をして、「お雑煮はこれなん?」と聞いてきたのです。私の方こそ「えっ、何で?お雑煮は白みそと違うの?」との思いで話を聞いたところ、夫がお正月に食べていたお雑煮はおすまし仕立て。具も全く違っていました。昆布と鰹節のお出汁に、大根、にんじん、油揚げ、鶏肉、かまぼこ、豆腐を入れ、さらに、何とこんがり焼いたお餅を入れるものでした。最後に細かく刻んだネギを入れて完成。義母に確認すると、毎日お味噌汁を食べているので、お正月はお醤油味のお雑煮が特別の味でご馳走だったとか。なるほど……と思ったものの、私にとっては、まさにカルチャーショックの思い出でした。
我が家の子どもたちは二つのお雑煮で育っています。元旦の朝、リクエストを聞いて、お好みのお雑煮を作っていました。どちらもふるさとの味です。さて、娘たちの将来の家庭では、どんなお雑煮になることやら…?

  • 白みそ

  • おすまし

美山のお雑煮はいろいろ…

他所のお家でどんなお雑煮が供されているのか知りませんでしたが、美山町内でも、地域によってお雑煮に違いがあるのかもしれないので、改めて地域の皆さんに聞いてみました。
すると、主には白みそ仕立てのお雑煮とおすまし仕立てのお雑煮が多いようですが、お雑煮ではなく、白餅、栃餅を焼いて伸ばして、納豆を入れて丸めて食す…というお家もありました。
そんなとき、『伝えていきたい 美山の味と文化』の冊子を元JA職員 小崎フサエさんが貸してくださいました。美山の郷土食を伝える会の一員として、季節ごとに美山に伝わる郷土食をしっかり書きとどめ、残していこうという趣旨のもと、平成6年度にまとめられたものです。町内全域を調査された現状とレシピが載っていました。
そのなかに、お正月のお雑煮分布がありました。元旦のお雑煮は、知井地区、大野地区が白みそ仕立て。主な具材は、大根、人参、蕪、かしら芋、豆腐など。おすまし仕立ては、私が住む平屋地区と鶴ケ岡地区。主な具材は、里いも、豆腐、人参、蕪など。そして宮島地区は納豆餅となっています。
さらに1月2日、1月3日に食べるお餅も昔は決まっていたようです。2日には、元旦白みそ仕立てのところはおすましに、おすましのところはみそ仕立てになり、他にも巻き餅(蒸して柔らかくなったお餅を伸ばして納豆を入れ丸く大きくまるめたもの)や焼き餅、納豆餅などを頂く家庭も。そして3日には、ぜんざいと納豆餅となっています。

お雑煮の具材やお味はお家によってさまざまですが、嫁いでこられたお嫁さんによって脈々と伝えられてきた美山のお雑煮です。お正月三が日のお餅の食べ方も、今はずいぶん変わってきているでしょうね。

ほかにもいろいろ、美山のお餅

その他のお餅として、納豆餅、栃餅、粟餅、きび餅、よもぎ餅などがあります。納豆餅は、お家によって作り方は様々なようです。主にはお餅をつくときに納豆を一緒につきこむ方法と、つきあがったお餅で納豆を包む方法が多いようです。また焼いた白餅や栃餅を伸ばして、納豆を包んで食べるというお宅もあります。
栃餅は、「栃の実」の灰汁抜き、乾燥、水で戻す、つぶして実を取り出すなど、たくさんの手間がかかっていますが、詳しい製法等はまたの機会に。

お餅や新鮮なお野菜を是非!

栃餅、粟餅、きび餅は、「きたむらきび工房」や「たなせん」で販売されています。季節限定の場合もあるので、事前にお問い合わせください。いずれも、美山産のもち米に、それぞれ地元で採れる栃の実、よもぎ、自分たちで育てた粟、きびなどを使用し、安心安全な食材です。是非、一度ご賞味ください。寒さのなかで甘みが増すたくさんの冬野菜も合わせてとうぞ!

いろいろなお餅を売っているところ
ふらっと美山
お土産処かやの里
・きび工房
たなせん

文:下伊豆かおり
*2022.4 改訂