美山で一番長く続いている朝市 やまざと市
毎週日曜日、美山町板橋の原川サンクガーデンで開催されている「美山やまざと市」。今年で20年目を迎える町内で最も長く続いている朝市だ。我が家の子どもたちが小学生だったころには、お友だちのおばあちゃんやお父さんがお店を出しておられるので、たびたび行って買い物をしたり、おまつりなどを一緒に楽しませてもらっていた。そんな思い出も懐かしい。
府道園部平屋線(府道19号線)、通称「えんぺい線」を日吉方面から神楽坂トンネルを抜けて、1キロほど進むと、日曜日の朝には「やまざと市」ののぼりが立ち並び、すぐに目に留まる。広場を囲んで、ところ狭しとお店が並んでいる。売られているのは、定番の季節の新鮮野菜、お茶(番茶)、ひらがい卵、手作りの梅干しやお漬物、たこ焼き、美山牛乳、牛乳プリン、シュークリームなど。日によっては窯焼きのピザが出ることもあるし、春にはしいたけの原木、夏には花、秋には焼き芋を売っている日もある。コーナーごとに、店主さんがいて、それぞれのお店で買い物をする。現在は、12~13人が中心になって出店し、収穫する野菜などによって時々出店する人もいるそうだ。
朝8時に開店するや、地元の人も続々とやってきて、ご近所さんがお店に出している野菜や卵を買っていく。これぞ、究極の地産地消だ。もちろん、作り手の顔が見えて、安心安全な食材ばかりである。我が家では毎回、サラダ用の柔らかい水菜と卵を買って、たこ焼きを食べるのが楽しみになっている。
毎週通う人も! 朝市で人気の竹細工教室
その広場の一角で、こつこつと竹を編む人たちがいる。皆さんが師匠(先生)と慕うのは中島庄一さん(82歳)。中島さんに指導を仰ぐために、毎週朝市に通う人も多い。町内の人だけでなく、兵庫県尼崎市から来られている方にもお会いした。もう5年近く通っているそうだ。参加者は、思い思いに竹かごや花器などを作っておられるが、一日だけでは完成しないので、自宅へ持ち帰っては作業をすすめ、また、翌週に持ってきて指導を受けているとのこと。
師匠中島さんの竹細工は、「昔は山の仕事をしていたので、冬場は山に行けず、竹を編んでいた」「親父が作っていたのを、見よう見まねで見習って作るようになった」と約60年の経験を持つ、お父さん譲りの腕前である。中島さんはやまざと市で教え始めてもう7年目。毎週出品するほどは作れないので、最近はやまざと市では教えるだけで、頼まれて作る製品は自宅庭で作っているそうだ。中島さんが用いる竹は主に孟宗竹。特に3年目の竹が一番良いという。伺った時には、ウナギ漁用の道具「うなぎ筒」を作っておられた。
「人様が使うもの、きれいに作りたい。丁寧な仕事をすると手間がかかり、一度にたくさんは作れへん・・・」と話す中島さん。確かに、中島さんの仕事はとても丁寧だ。作品の部位によって、竹ひごの幅を変えたり、底の部分には、針金を一緒に編みこんで補強するなど細部にも気を配る。「ここで買える作品はないの?」と尋ねたら、「出来上がるのを待って取りに来られるから、一つもない。」との答え。どうしても中島さんの竹細工がほしい方は、何度も通って注文してほしい。
みんなで楽しむ 季節ごとの「美山やまざと市まつり」
やまざと市は、毎週日曜日に開催しているが、年に数回は「感謝祭」と称してさまざまなイベントを開催している。4月22日(日)に開催された「春まつり」では、花苗のプレゼントや山菜の天ぷらが振舞われた。その他にも、お買い上げ1,000円ごとに「ガラガラ抽選会」があり、お米賞、たまご賞、たこ焼き賞など、楽しい景品とお客さんの笑顔とが並んでいた。ちなみに、お買い上げ金額は、自主申告だそうです!(笑)
また毎年8月に開催される「夏まつり」では、地元フォークソンググループなどのミニコンサートやカラオケ大会、じゃんけん大会なども行われ、お客さんも各店主も一緒に楽しめる場になる。フリーマーケットや金魚すくい、当てもんなど、子どもたちが大好きな出し物も多く、地域の老いも若きもみんな大集合。店主とのおしゃべりも弾み、一緒に盛り上がっている。そんなイベント時には、普段は素材で販売されているものが、地卵の出汁巻、焼き鳥、プリンやアイスクリームなど、とびきり美味しいお料理になって登場するのも楽しみのひとつである。今年も、秋には収穫市、年末の終い市などが予定されている。
この空間が好き……。それが長続きの秘訣‼
朝市は、遠くから来た人を温かく迎える場所であり、地域で仲間を作る場所だ。日曜日にはいつも知っている顔に出会える。そんな心やさしい、温かい場所を作ってきた取り組みが、長く続いている秘訣にちがいないと思う。美山を訪れたら、ぜひ美山やまざと市を覗いてみて!きっと楽しい出会いが待っているはず!
開催日時:毎週日曜日 8時~12時(※12月~3月は9時から12時)
開催場所:原川サンクガーデン内
文:下伊豆 かおり